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進学の基礎知識

農学系統とは?

生物学、化学、工学、経済学などを基盤とした学科で構成されるが、最近は、生命科学や環境を柱とした学科が増加している。

●生命科学や生物工学とも融合し、新分野を開拓

農学関係

バイオ技術を駆使して、農業を総合的にとらえる
 農業分野全般を対象とするのが、農学科など農学関係の学科だ。園芸学科や造園科学科も含まれるが、最近多くの大学が特に力を入れているのがバイオテクノロジーや環境保全の分野だ。応用生物科学科が代表的で、生命、食料、環境問題に重点をおいている。

農業工学関係

工学色が濃く、環境と生命との視点でとらえる
 この系統のなかでは最も工学色が濃い分野。農業の基盤となる農地の造成や水利施設の建設を扱う土木工学と、農業機械の開発や設計を扱う機械工学が2大分野である。最近は、環境の視点を取り入れた学科の誕生が目立っている。

農芸化学関係

化学と生物学を基盤にした分野が対象
 農芸化学系の学科では、化学や生物学を基盤に、農業を行うための土壌や肥料の化学的研究、微生物学や発酵学、農産物利用学、農薬化学などが対象となる。バイオテクノロジー関連の研究が活発で、応用生物化学科などの新しい学科が誕生している。

農業経済学関係

社会科学的色彩が濃く、農学系では異色
 農学科の範疇でもある農畜産物の価格や流通、農業行政面を対象とした分野を独立させたものと考えてよい。農学系統のなかでも社会科学的な色彩が濃い内容で、農業経済学科、フードビジネス学科などがおかれている。

森林科学関係

森林資源の増産と保護、有効利用を学ぶ
 森林科学科、森林資源科学科、森林緑地環境科学科などがこの関係に含まれる。いずれも森林の育成や管理、木材の生産や加工、防災、森林造成、森林資源調査などの分野を対象としている。
 最近は、森林資源の有効利用、動植物の保存や自然環境の保全といった分野に重点をおき、人間との共存の立場から研究する傾向にある。
 いずれの大学も広大な演習林を持っており、合宿を含む野外実習によって、森林とそこに生きる生産物の利用について学んでいる。

水産学関係

地域に密着し「育て増やす」漁業を研究
 海に囲まれたわが国において、重要な食糧として親しまれてきた水産物を、「捕まえ」「加工し」「育て増やす」ことに関する知識や技術を教育・研究する。近年では、限られた資源を「獲る」ことだけでなく、「育て増やす」ことに重点をおく傾向にある。海洋生物の生態や機能に関する調査や研究、バイオテクノロジーも利用した生物資源の効率的な利用といった分野が注目されている。学科としては、水産学科、海洋生物科学科、海洋生物資源学科、食品生産科学科などがある。

獣医畜産学関係

動物医科学と家畜の生産性向上に力を注ぐ
 獣医師の養成を目的とした獣医学科と、畜産関連分野を扱う畜産学科がメインである。
 獣医学科では文字どおり獣医師になるための知識や技術を修得させている。修業年限は6年で、修了すると獣医師国家試験受験資格が取得できる。
 いっぽう、畜産学科、畜産科学科など畜産関係の学科では、家畜の育種、家畜経営学、乳製品などの加工、畜産物の流通や管理などを教育・研究。バイオテクノロジーを利用した研究にもウエートがおかれている。

その他

生物生産学を共通の基盤に農学を研究
 農学部で学ぶ分野には、大別して生物学系、化学系、工学系、経済学系がある。どの分野にウエートをおくかで学科が分かれるが、最近は学際領域にも対応するため分野の壁を取り払い、自然環境との調和を保ちながら生物生産効率を高める研究を行う学科が主流となってきた。生物生産学科、生物生産科学科、生物資源学科などが誕生している。
 また、栄養学、医学、経済学、商学などとも連携を保ちながら、農産物の加工、流通、消費を扱う学科も多数誕生している。

食糧問題や環境問題などの分野で重要性が高まる

 農学は、農林業、畜産業、水産業など広範囲な分野の研究を行い、食糧問題やエネルギー問題に対処する応用科学だ。研究の手法として、基礎となる生物学はもちろん、化学、工学、薬学、経済学などのスキルも駆使しており、総合科学ともいえる内容になっている。近年は食糧問題、エネルギー問題、環境問題など、人類の生存に関わるライフサイエンスの多くの課題が前面に出てきて、農学の重要性がますます増加している。
 この系統の中心となるのは農学部で、国立大を中心に数多くおかれている。農学、農芸化学、農業工学、森林科学などのジャンルがあるが、最近は学際領域に対応した学科が増加している。このほか、農学の特定分野にマトを絞った学部として、獣医師を養成する獣医学部、広く畜産業に携わる人材の育成をめざす畜産学部、食糧資源としての水産物を扱う水産学部がある。
 また、総合的、学際的な学部として食糧資源や生物資源の開発と活用をめざす生物生産学部、ライフサイエンスを総合化した農学生命科学部、総合的に生物資源に関する教育・研究を行う生物資源科学部、生物資源の生産・加工・機能利用等を扱う生物資源学部などがある。

就職先●民間企業、公務員、農業団体など多彩な進出先

 就職先は幅広く、食品工業、薬品・化学工業、飼料製造メーカー、種苗会社などのほか、農業団体職員や公務員になる者も多い。大学院に進み、高度な専門知識と技術を修得する者も少なくない。

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