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進学の基礎知識

【進学の基礎知識】
奨学金制度編

大学に通うためには、決して安くない学費がかかります。ひとり暮らしをして通学するには家賃や生活費なども必要です。そのような不安をなくし、学生や保護者の方が安心して学べるよう、学費の補助をしてくれる制度が奨学金制度です。今回は、奨学金制度の種類やその違いについて説明していきます。

奨学金の種類について知っておこう

公的な奨学金、民間の奨学金、大学の奨学金

奨学金制度はさまざまありますが、運営している組織という観点から、大きく分けて3種類に分けられます。国や地方自治体による公的な奨学金主に企業などが設立した民間の奨学金大学の奨学金の3種類です。

公的な奨学金のうち代表的なものが国の独立行政法人である日本学生支援機構の奨学金です。都道府県や市、区などで独自の奨学金制度を設けているケースもありますが、その数はあまり多くはなく、やはり日本学生支援機構の奨学金制度の利用を勧める自治体が多数になります。

民間の奨学金は、主に企業や財界の篤志家などが財団などを設立して運営するもので、たいていは大学卒業後の将来、奨学金を設立した企業の業界など特定の分野で活躍することを前提にしています。人柄が優れていて、かつ、高校や大学で優秀な成績をおさめていることが支給の条件になるのが一般的で、返済の必要のない給付型の奨学金(詳しくは後述)は募集人数が少なく競争が厳しくなる傾向にあります。

大学の奨学金は、その大学に通う学生を対象とするもので、大学本部の設ける制度のほか、学部独自に用意されているものもあります。

奨学金は運営する組織の受給者募集に応募して受給することになりますが、高校・大学を通じて応募するケースと、個人で直接、ホームページなどから応募するケースがあります。ふたつ以上の奨学金を併用して受給することも可能です(併用不可の奨学金もあります)。なお、日本学生支援機構による、平成30年度の学生生活調査によると、なんらかの奨学金を1年以内に受給した大学生(昼間部)は、全体の47.5%ほどになっています。

高校在学時に申請する奨学金も

奨学金には高校在学時に募集があり、受給の申請を行うタイプのものもあります。何かとお金のかかる大学生活のスタートとともに奨学金を受給できる安心感を得られるのは大きなメリットといえるでしょう。ただし、“高校3年の5月末まで”などと募集期間が早めに設定されている奨学金もあるので注意が必要です。奨学金の受給を考えているなら高校2年から情報を集めておくとよいでしょう。

貸与型の奨学金と給付型の奨学金

支給の条件が厳しい給付型の奨学金

運営する組織という観点以外にもうひとつ、奨学金は貸与型の奨学金と、給付型の奨学金に分けられます。「貸与型」は大学卒業後に返済する必要がある奨学金で、返済する必要がなく全額もらえるのが「給付型」になります。貸与型の奨学金はさらに、利息のつかない無利子のものと、利息がかかる有利子のものに分けられます。

先ほど述べた運営する組織による種類と合わせて「民間の給付型の奨学金」「大学の貸与型の給付金」などと区別できるようにしましょう。

貸与型と給付型のどちらの奨学金を受給したいかといえば、誰でも返済の必要のない給付型を選ぶでしょう。しかし奨学金には支給の基準があります。その基準は、世帯年収や家計を支える収入を得ている人の人数などの“家計基準”と、高校・大学で一定以上の成績を残さなくてはならない“学力基準”のふたつに分けられるのが一般的です。

通常、給付型の奨学金は家計基準、学力基準ともに条件が厳しく、貸与型(無利子)→貸与型(有利子)となるにつれ、条件が緩やかになります。日本学生支援機構の奨学金制度では、給付型の奨学金はおおむね世帯年収200~300万円以下、学部等の成績が全体の2分の1以上などとなっており、一方、有利子の貸与型となると世帯年収1,000万円でも受給できます。

貸与型は将来の返済のことも頭に入れて

貸与型の奨学金を受給するなら、大学卒業後の返済についてシミュレーションしておくことも大事です。
日本学生支援機構の第一種奨学金(無利子)を例にとると、私立大の自宅外通学として毎月50,000円を4年間(48か月)受給した場合、大学卒業後におよそ月額13,000円を、15年かけて返済することになります(諸条件により返済月額・返済期間は変動します)。
奨学金の受給総額にもよりますが、だいたい月1~2万円を12~25年ほどかけて返済していくイメージでしょうか。

貸与型(有利子)の奨学金で気になるのは年間利率(年利)ですが、日本学生支援機構の場合は年利が3%以下と定められているなど、それほど高くならない傾向にあり、利息で返済額が雪だるま式にふくれあがるといった心配は不要なようです。

今回は、さまざまな奨学金制度やその違いについて説明しました。
もしも、経済的に厳しいことが想定される場合は、奨学金制度の利用についても早めから検討しておくとよいでしょう。

最後に文部科学省が行っている給付型の奨学金制度のホームページを紹介します。(外部ページへ)
https://www.mext.go.jp/kyufu/

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